【プロ家庭教師が解説】お子さんの集中力は環境で変わる?家庭でできる学習環境づくりの基本
「うちの子、どうも勉強に集中できていないみたい…」多くの子育て中のご家庭で、一度はこうした悩みを抱えることがあるのではないでしょうか。集中力が続かないと、日々の家庭学習がなかなか進まないだけでなく、テスト本番で力を発揮しきれない原因にもなりかねません。
しかし、それは決して、お子様のやる気や性格だけの問題ではないのかもしれません。実は、ほんの少し学習環境を見直すだけで、驚くほど集中力を引き出すことができるのです。今回は、ご家庭ですぐに実践できる、学習環境を整えるための基本的な三つの視点についてお話しします。
まずは学習する「場所」を整える
まず始めたいのが、お子様が勉強する「場所」そのものを整えることです。やはり、物が散らかった机の上では、気持ちが散漫になりがちです。一方で、すっきりと片付いた空間は、自然と「これから勉強するぞ」という気持ちの切り替えを助けてくれます。
理想を言えば、勉強専用のお部屋を用意できることですが、間取りの都合上、難しい場合も多いでしょう。リビングで学習する場合でも、全く問題ありません。大切なのは、勉強する時間になったら、その周辺から注意を引くものを片付ける習慣をつけることです。
例えば、おもちゃや読みかけの漫画、お菓子などが視界に入るだけで、お子様の意識はそちらに向いてしまいます。「この場所は、今から勉強に集中するところ」という特別な空間を、親子で一緒につくりあげていく意識が重要になります。
集中力を妨げる「誘惑」を遠ざける
次に、集中力を妨げる最大の要因である「誘惑」を物理的に遠ざける工夫です。特に、テレビやスマートフォン、ゲーム機といった電子機器の存在は強力です。勉強中は電源を切る、あるいは別の部屋に置いておくといったルールを決めるだけでも、大きな効果が期待できます。
また、見落としがちなのが「音」の影響です。キッチンで料理をする音や、家族の話し声など、ふとした生活音が気になって集中が途切れてしまうお子様も少なくありません。だからといって、完全に無音の状態が最適かというと、必ずしもそうとは限りません。
静まり返った空間では、かえって小さな物音が際立ってしまい、集中を妨げることもあります。お子様によっては、人の話し声がないカフェの雑音や、穏やかな音楽のような、一定の環境音があった方が落ち着いて取り組める場合もあります。お子様の様子を見ながら、最適な音環境を探してあげるのも良いでしょう。
終わりが見える「時間」で区切る
最後に、「時間」を味方につけるという視点です。大人でも難しいように、お子様が何時間も続けて集中力を維持することは、ほとんど不可能です。「一時間、しっかり勉強しなさい」とただ伝えるだけでは、終わりが見えない長い道のりに感じてしまい、かえってやる気を削いでしまうかもしれません。
そこでおすすめしたいのが、タイマーを使って勉強時間を細かく区切る方法です。「まずはこの15分だけ、一緒に集中してみようか」と声をかけ、短い時間で区切ることで、お子様も「それくらいなら頑張れそう」と前向きな気持ちになりやすいのです。
その時間は親御さんも読書や家事など、ご自身の作業に集中する姿を見せることで、家庭内に「集中する時間」という一体感が生まれます。短い集中と休憩を繰り返すことで、結果的に質の高い学習時間を確保することに繋がります。
まとめ
お子様の集中力は、本人の気質だけで決まるものではなく、周りの環境によって大きく左右されます。学習環境を整えることは、お子様に「集中しなさい」と求めるだけでなく、集中しやすい状況を親がサポートしてあげるという大切な役割です。
今回ご紹介した「場所」「誘惑」「時間」という三つの視点から、ご家庭の学習環境を一度見直してみてはいかがでしょうか。ほんの少しの工夫が、お子様の「できた!」という自信に繋がり、学びへの意欲を育むきっかけになるはずです。