【プロ家庭教師が解説】つい言ってしまう「勉強しなさい」が逆効果な理由。子どものやる気を引き出す言葉の秘密

「うちの子、なかなか勉強を始めなくて…。つい感情的に『勉強しなさい!』と叱ってしまい、後で自己嫌悪に陥るんです」
教育の現場にいると、こうした保護者の方々の切実な悩みに触れる機会が少なくありません。我が子を思うからこそ、将来のためにと願う気持ちが、時として強い言葉になって表れてしまう。そのお気持ちは、プロ家庭教師としても痛いほどよく分かります。


しかし、実はその「勉強しなさい」という言葉こそが、子どもの学習意欲を削いでしまう可能性があるとしたら、どうでしょうか。良かれと思ってかけた言葉が、かえって子どもを勉強から遠ざけているとしたら、それはとても悲しいことです。


なぜ「勉強しなさい」という言葉は逆効果なのか


この現象には、心理学的な裏付けがあります。「心理的リアクタンス」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

これは、他者から何かを強制されたり、行動を制限されたりすると、無意識のうちに反発心が生まれ、自由を回復しようとする心の働きを指します。


「これをやりなさい」と命令されると、たとえそれが自分にとって必要なことだと頭で分かっていても、心が「やらされている」と感じてしまうのです。

その瞬間、自ら進んで取り組もうとしていたはずの意欲の炎は、急速にしぼんでいきます。


子どもが素直に机に向かえないのは、決して意志が弱いから、あるいは怠けたいからという単純な理由だけではありません。

多くの場合、子ども自身のやる気が自然に引き出されるような環境や、心に響く言葉が、ほんの少し足りていないだけなのです。


子どもの気持ちを理解する


私のみている範囲では、子どもにだって、「そろそろ宿題をやらなければ」という気持ちは芽生えています。

そんな時に頭ごなしに「やりなさい」と叱られると、「今やろうと思ってたのに!」という反発心が先に立ち、親子げんかの火種になってしまうことも珍しくありません。
大切なのは、子どもを「やらなければならない」という義務感で縛り付けることではなく、「やってみようかな」と前向きな気持ちに導いてあげることです。

そのためには、命令や詰問といった言葉ではなく、子どもの心に寄り添い、共感と安心感を与えるような声かけが不可欠になります。


この記事から始まる一連の内容では、そうした具体的な言葉の選び方について掘り下げていきます。

まずは、なぜ「勉強しなさい」が子どもの心を閉ざしてしまうのか、そのメカニズムをご理解いただけたなら幸いです。

次の記事では、実際にどのような言葉が子どもの心に火を灯すのか、具体的な声かけの方法をご紹介していきます。