完璧な親がダメにする?受験生の子どもを伸ばす本当の関わり方
受験生を抱える親御さんの中には「少しでも手を貸して子どもの負担を減らしたい」「失敗させたくない」という思いから、つい口出し手出しが増えてしまう方も多いのではないでしょうか。
親心からくるこうした行動が、実は子どもの成長を阻害してしまうこともあるのです。
「完璧な親」が子どもに与える影響とは
教育熱心な親が増える受験シーズン。
勉強時間の管理から志望校選び、さらには毎日の食事管理まで、親が全てを完璧にしようとする姿をよく見かけます。しかし、親の過度な関与は子どもの自立を妨げる可能性があります。
親の過干渉が強い家庭の子どもほど、高校・大学受験時に精神的なプレッシャーを強く感じる傾向があります。
また、一流大学に子どもを多く送り出している進学校の教師からは「最も成長する生徒は、適度に親が距離を置いている家庭の子どもたち」という声も聞かれます。
では、受験生の子どもを持つ親として、どのような関わり方が理想的なのでしょうか。
失敗経験がない子どもが直面する受験の壁
受験は人生で初めて経験する大きな挫折のタイミングになることがあります。
これまで何事も親が先回りして解決してきた家庭の子どもは、模試で思うような結果が出なかっただけで自信を喪失してしまうことがあります。
これは毎年見られる光景ですが、初めて大きな挫折を経験する生徒ほど立ち直りに時間がかかります。日頃から小さな失敗を経験している生徒は、受験というプレッシャーの中でも精神的な強さを見せます。
小さな失敗をさせないよう先回りすることは、実は子どもの挫折耐性を奪っているのかもしれません。
宿題を忘れた時、教科書を持ってこなかった時など、小さな失敗から学ぶ機会を奪わないことが大切です。
自分で決められない子どもが陥る進路選択の迷走
「どの大学を受験すべきか」「どの学部が自分に合っているか」。
こうした重要な選択を親が主導していると、子ども自身の決断力が育まれません。
幼少期から思春期にかけて自分で選択する経験が少ない子どもは、将来の重要な決断において不安や躊躇を感じやすいとされています。
受験という人生の分岐点で、自分の意思で選択できる力は非常に重要です。
例えば大学付属を受験するのであれば、「うちの子にはこの大学が合っている」と親が決めるのではなく、「この大学のここが魅力的だと思うけど、どう思う?」といった対話を通じて、子ども自身の考えを引き出す姿勢が望ましいでしょう。
プレッシャーに弱くなる子どもと受験ストレス
完璧な親のもとで育った子どもは、常に高い基準を求められることで「失敗は許されない」という強い信念を持ちがちです。
受験というプレッシャーの高い環境では、こうした完璧主義が心理的負担となって成績低下を招くこともあります。
私は家庭教師として模試の点数が悪かっただけで過剰に落ち込み、そこから立ち直れない生徒を多く見てきました。親が『失敗してもいい』という安心感を与えることが、子どもの精神的安定につながります。
受験生の親ができる3つの関わり方
ではどのように子どもと関わるべきでしょうか。
受験生の親ができる3つの関わり方
- 手を出さない勇気を持つ。
- 小さな失敗を経験させる
- 親も完璧ではないことを見せる。
まず一つ目は「手を出さない勇気を持つ」こと。勉強のスケジュール管理や志望校の情報収集など、子ども自身にできることは任せましょう。親の役割は、必要な時にサポートする「後方支援」です。
二つ目は「小さな失敗を経験させる」こと。模試の結果が思わしくなくても、それを成長の機会と捉える姿勢を示しましょう。失敗から学ぶプロセスこそが、将来の大きな壁を乗り越える力になります。
三つ目は「親も完璧ではないことを見せる」こと。親自身の失敗談や挫折経験を適度に共有することで、子どもは「失敗しても大丈夫」という安心感を得られます。
完璧な親ではなく、共に成長する親でいることが、受験という大きな山を乗り越える子どもの力になるのです。
受験は確かに人生の重要な局面ですが、それ以上に大切なのは、その過程で育まれる子どもの「生きる力」ではないでしょうか。親として完璧を目指すよりも、子どもの自立を見守る勇気をもちましょう。
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