最新の研究で判明、朝型・夜型?実は勉強に向いてるのは...

「早起きは三文の徳」というように、朝早く起きて勉強することが美徳とされてきました。

受験生や社会人の間でも「朝活」という言葉が広まり、朝型の生活習慣が成功への近道だと信じられています。

しかし、果たして勉強に最も適した時間帯は本当に朝なのでしょうか?あなた自身、「夜になると集中力が高まる」と感じたことはありませんか?

最新の研究によれば、朝型・夜型の体質は単なる生活習慣だけでなく、実は遺伝的な要素も大きく関わっていることがわかってきました。
さらに興味深いことに、朝型・夜型のタイプによって、認知能力や学業成績に異なる特徴が見られるのです。

この記事では、最新の科学的知見をもとに、あなたのお子様の体質に合った効果的な勉強法をご紹介します。

朝型・夜型の体質はどう決まるのか

「朝型人間」と「夜型人間」の違いは、単なる好みや習慣だけではありません。

実は私たちの体内時計(サーカディアンリズム)に関わる「時計遺伝子」が大きく影響しているのです。
島根大学の宮崎亮准教授らの研究によると、朝型か夜型かを決める要素の約50%は遺伝的要因によるものだとされています。

残りの50%は年齢や光の影響、そして生活習慣によって形成されます。子どもは基本的に朝型が多いのですが、
思春期に入ると夜型へと変化し、20歳前後で夜型の傾向がピークを迎えます。その後、50歳を過ぎると再び朝型へ戻っていく傾向が見られます。

これらの知見は、自分が夜型だからといって無理に朝型へ変えようとするのではなく、自分の体質を理解したうえで、それに合った生活リズムや勉強スケジュールを組むことの重要性を示しています。

朝と夜、脳のコンディションはどう違うのか

脳科学の観点から見ると、朝と夜では脳の働き方に明確な違いがあります。

朝は睡眠で脳がリセットされた状態のため、特に起床から3時間程度は「脳のゴールデンタイム」と呼ばれ、思考力や集中力が高まります。
脳科学者の茂木健一郎氏によれば、睡眠によって記憶が整理され、朝は新しい記憶を収納する準備が整った状態になっているとのこと。

一方、昼食後は血糖値の変動により眠気が生じやすくなります。しかし、午後はドーパミンやアドレナリンの血中濃度が高まるため、やる気が出やすい時間帯でもあります。

夜になると脳は1日の疲労で情報を吸収する能力は低下しますが、記憶の定着という面では効果的です。
アメリカの心理学者の研究では、日中よりも寝る前に覚えたことのほうが長期記憶につながりやすいという結果が出ています。

朝と夜の脳の働きの違い

☀ 朝の場合
思考力や集中力が高まり記憶効率なども良くなる。

🌙 夜の場合
やる気が出やすく、記憶の定着には効果的。

意外な事実:夜型は頭がいい?でも成績は朝型の方が良い?

ここで驚くべき研究結果をご紹介します。ドイツ・トリア大学のフランツィス・プレッケル教授らが行ったメタ分析によると、「夜型の人は認知能力(いわゆるIQ)が高い傾向がある」ことが判明しました。しかし同時に、「学業成績は朝型の方が優れている」という一見矛盾する結果も示されています。

夜型の人の認知能力と朝型の学業成績の関係は以下のように解釈されています。

  1. 夜型の人は社会的な制約(早朝からの学校や仕事)に適応するため、日常的に困難を克服する必要があり、それが問題解決能力を高めている可能性がある
  2. 一方、学校のスケジュールは朝型の人に有利に設計されており、夜型の人は睡眠不足や体内リズムとの不一致により、本来の能力を発揮できていない可能性がある

つまり、夜型の人は潜在的には高い能力を持っているものの、現代社会のシステムが朝型中心に作られているがゆえに不利な状況に置かれているのです!

時間帯別・おすすめの勉強科目

脳の働き方の違いを考慮すると、時間帯によって効果的に学習できる科目も変わってきます。

朝に向いている科目

  • 数学や理科などの理系科目:思考力やひらめきが必要な科目は、脳が活性化している朝に取り組むと効果的です
  • 応用問題や苦手科目:集中力が高い朝は、難易度の高い問題や苦手分野の克服に適しています

昼〜夕方に向いている科目

  • 国語や英語、社会などの文系科目:持久力を必要とする長文読解や論述問題は、この時間帯が適しています
  • 時間をかけて考える必要のある問題:午後はやる気が出やすいため、じっくり取り組む必要のある課題に向いています

夜に向いている科目

  • 英単語や古文単語、歴史用語などの暗記系:睡眠前の学習は記憶の定着に効果的です
  • 復習:日中に学んだ内容を整理し、記憶として定着させるのに適しています

自分のタイプに合った効果的な勉強法

朝型の人へのアドバイス

  1. 早起きして日光を浴びながら軽い運動をすることで、脳をさらに活性化させましょう
  2. 朝のゴールデンタイムを活用して、最も集中力を要する科目や難問に挑戦しましょう
  3. 前日に勉強する内容を決めておくと、朝の時間を無駄なく使えます

夜型の人へのアドバイス

  1. 無理に早起きするよりも、夜の時間を効率的に使いましょう
  2. ただし、就寝1時間前はスマホやパソコンなどのブルーライトを避け、良質な睡眠の準備を整えることが重要です
  3. 試験が近い場合は、3ヶ月前から徐々に朝型の生活に移行することで、試験当日のパフォーマンスを高めることができます
  4. 昼食後に15分程度の仮眠を取ると、午後の勉強効率が上がります

どちらのタイプにも共通するポイント

  1. 時間割を明確に設定し、ダラダラと勉強することを避けましょう
  2. 規則正しい食事と適度な運動で体内リズムを整えましょう
  3. 質の高い睡眠を十分に確保することが、記憶の定着や翌日の集中力につながります

朝型社会の中で夜型が成功するために

宮崎准教授の研究によれば、「夜型」の遺伝子を持つ人が平日に「朝型」のリズムで生活すると、週末に活動量が落ちる傾向が見られました。
これは平日の疲れを週末に回復させているためと考えられ、長期的には健康や学習効率に影響を及ぼす可能性があります。

アメリカの小児学会は2014年に「思春期は人生で最も体内時計が夜型化する年代なので、23時前に寝て朝8時前に目覚めるのは難しい」という声明を出しています。
実際に、登校時間を遅らせた学校では、授業中の居眠りや集中力が改善され、成績が向上したケースも報告されています。

しかし、現実的には学校や仕事の開始時間を変えることは難しいでしょう。そこで、夜型の人が現在の社会システムの中で成功するための工夫をいくつか紹介します。

夜型人間の子どもが成功するための工夫

  • 自分の最もパフォーマンスが高い時間帯に重要な学習を集中させる
  • 無理に朝型にしようとするのではなく、子どもの体質を受け入れて効率的な時間の使い方を工夫する

まとめ:あなたのお子さまに向いている勉強法は?

最新の研究によれば、朝型・夜型どちらのタイプにも長所と短所があり、どちらが「優れている」というわけではありません。大切なのは自分の体質を理解し、それに合った勉強法を見つけることです。

夜型の人が無理に朝型の生活を送ろうとすると、かえって集中力や学習効率が落ちる可能性があります。
同様に、朝型の人が夜遅くまで勉強すると、効率が悪くなってしまいます。

自分がどちらのタイプなのかを知るためには、休日に目覚ましをセットせずに過ごし、自然に目覚める時間を観察するのが良いでしょう。
また、時計遺伝子を調べるキットも市販されています。

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最終的には、社会的な制約の中でも、できるだけ自分の体内時計に合った生活リズムを構築し、それぞれの時間帯の特性を活かした勉強法を取り入れることが、学習効率と健康の両方を高める鍵となるでしょう。

「早起きは三文の徳」という言葉がありますが、もしかしたらあなたのお子さまにとっては「夜更かしは五文の徳」なのかもしれません。